詩画集『旅の心を取り戻す』
¥2,090
なら 手数料無料で 月々¥690から
初めての商業出版の本です。
本書のテーマは「旅」。
絵とともに詩を、言葉を書いていきたいという決意をこめて作った詩画集です。
コロナ禍の体験ののちに気がついた、旅に対する自分の心のありよう。
「旅に出たい」けれど、なぜか「旅に出たくない」。その相反するふたつの感情に戸惑いました。自分でもよくわからないままに言葉で書き連ねていくうちに、わたしの心は「旅」と「愛するもの=執着」のふたつのあいだで揺れ動いていることに気がつきました。
旅とは、変化すること、未知のものとの出会うこと、日常を逸脱すること。それをつよく求めながら、その一方で愛するもの、ひと、住む場所、大切なものから離れたり、失うことが怖いのだと、本を作っていく中で気がつきました。
本を作ることは現実の世界でもわたしを海へ、山へ、ひとのいる場所へといざなってくれました。
詩、掌編、音楽、絵など、さまざまな要素を重ねながら、世界で生きる一人の人間のごくささやかな時間を本という形で外の世界へとひらいていけたらと思っています。
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「呼吸」
人が去ったあとの海は
清らかに
打ち上げられた星は
浜一面にまたたく
しなやかに編まれた
太陽の光は
海の底を明るく
照らしている
水面はやわらかに逆立ち
一枚の葉を
浜へ運んでゆく
一艘の白い舟が
岸を目指し進み
かもめは追いかけ飛んでゆく
白い半月のかなた
昼の
まぼろしのように浮かび
ひとり
夜を待っているのか
濃い青と
ブルーグリーンのあいだ
海は
海はたえまなく
呼吸している
著者・装画・挿絵 柊有花
発行所 七月堂
発行日 2024年10月5日
138mm×148mm/本文2色刷り/88P
※サインも承ります。ご希望の方はご購入時に備考欄にご記入ください。